二遊間事情を語るにあたり、2017年から一年ごとに話を進めていきたい。
2017年
前年までショートのレギュラーだった鈴木大地がセカンドへコンバートされ空白となったショートを三木・平沢・大嶺の3名が争ったが、それぞれの成績は
三木 .242/.277/.314 OPS .591
平沢 .176/.222/.235 OPS .457
大嶺 .206/.255/.336 OPS .591
と惨憺たるありさま。
そのため、その年のドラフトにおいて折り返し13番目の指名順で藤岡を指名。
2018年
2017年にショートのレギュラー候補だった3名は、大嶺が金銭問題でシーズン中に退団。平沢は外野手として一軍で87試合に出場と前年ショートのレギュラーを争った3名中、18年もショートにとどまったのが三木のみとなってしまい新人の藤岡がショートとして全試合出場を果たしてしまう層の薄さだった。
この年のドラフトでは松田進を7位で指名。戦力外から茶谷を獲得(育成)。
また、18年シーズン当初より中村奨吾のセカンド固定に伴い、鈴木大地はサードへコンバートされている。
2019年
藤岡はコンディション不良で81試合の出場にとどまる。代わりのスタメンを務めた平沢・三木は
平沢.198.291.286 OPS .577
三木.214.270.286 OPS .556
と控えとしても物足りない成績に終わった。
この年のドラフトでは福田光輝を5位で指名。戦力外から西巻を獲得。茶谷が支配下に昇格。
鈴木大地がFAで退団。
17年から19年シーズン終了時までの概観
17年
まず、鈴木大地に関しては、もともと伊東勤監督は彼のショート守備に不満を持っており、15年限りで退団したクルーズの後が決まらないセカンドへコンバートされたという経緯。
高卒ドライチの平沢を使いたかったというのもあったとは思うが。
結果としてあとに入った3名がことごとくコケてしまった為、藤岡を獲得。
18年
中村のセカンド固定は、中村はセカンド、鈴木はサードが大学時代のメインポジションだったので決して理解できないものではなかったが、鈴木がサードへいった事により二遊間の層の問題は改善せず。
松田に関しては大学時代はショートだったが社会人では競争相手が木浪だったこともありサードへ押し出されていたため、プロでのショート適正は不安視されていた。
19年
二遊間には中村・藤岡しか居ない状況で控えの薄さはかねてから指摘され続けていた。この年も藤岡が欠場すると代わりに出て来るのは平沢・三木であり、前年指名した松田は二軍ではセカンドを主に守り337打席 OPS .650と一軍には物足りない成績だった。
5位で指名した福田もショートに残れるかは微妙という評価。
概観から見えることとその理由
藤岡を指名した17年以降の18、19年の球団の動き。つまり、明らかだった控え二遊間の薄さに対する回答がなぜプロでのショート適正が危惧されていた松田・福田の下位指名や茶谷の戦力外からの獲得といった場当たり的なものになってしまっていたのか?
それは18、19年のドラフト指名を見るとわかる。
18年
1位 藤原恭大
2位 東妻勇輔
3位 小島和哉
4位 山口航輝
5位 中村稔弥
6位 古谷拓郎
7位 松田進
8位 土居豪人
19年
1位 佐々木朗希
2位 佐藤都志也
3位 高部瑛斗
4位 横山陸人
5位 福田光輝
単純に18、19年の指名がうまく行き過ぎた結果なのだ。
18年は6位まで。19年は4位までの使命は完璧といえる。
この指名を見た時に果たして上位で二遊間を指名するべきだったと言えるのか?
もちろん後知恵でなら「18年の2位で二遊間を」とは言えるが、中継ぎ陣の高齢化も指摘されていた当時、甲斐野と並んで即戦力中継ぎとして評価され、1位もあり得ると言われていた東妻が残っていたならばそこに突っ込むのは当然の判断だった。
19年は言わずもがな。佐々木を外していれば1位は佐藤だったらしいので2位で誰かしら指名していたかもしれないが佐々木を外したほうが良かったとは口が裂けても言えないだろう。
ちなみに18、19年に指名された大社ショートで活躍したと言えるのは18年3位の木浪と19年1位の小深田くらいで、木浪なら2年連続大卒社会人ショートの上位指名。小深田も当時1位指名は驚きをもって迎えられた評価で、実際に実行することは難しかっただろう。
18年 上川畑 米満
19年 檜村 杉崎 糸野 諸見里 小豆澤
といった指名漏れに関してはその後の進路を見れば7位や5位で拾うことは無理な縛りがかけられていたとみるのが妥当。当時社会人所属の選手たちも同様だろう。
以上を鑑みたときに、松田・福田・茶谷の獲得をガチャと評価するのか、それとも、少なくともベットはし続けたと評価するのか。
というか松田は大嶺の穴埋め指名であろうし、彼を回した"ガチャ"の一つに数えるのは妥当なのか? という問題もある。
2020年以降は、
2020年開幕前
茶谷の支配下昇格。
戦力外から西巻・鳥谷と契約。
2020年オフ
ドラフトで小川龍成を3位で指名。
エチェバリアを獲得。
茶谷を支配下に昇格させ、西巻・鳥谷を獲得。控えの充実を図るも結果は残せずその年の年末にエチェバリアを獲得。ドラフトにおいても2017年の藤岡以来初めて上位で小川を獲得と21年シーズンへ向け久しぶりに弱点の二遊間を埋める動きを見せた。
2021年オフ
2位で池田来翔を指名。2年連続での二遊間上位指名は13年三木、14年中村以来。
中村の後釜候補として池田を獲得。
2022年オフ
2位で友杉篤輝、5位で金田優太を指名。3年連続での二遊間上位指名は(多分)球団初。
西巻・エチェバリアが退団。
小川が控えとしては使える目途が立ち、西巻・エチェバリアが退団した。
2023年オフ
三木引退。
友杉が将来のレギュラー候補として見れるだけの成績を残し、二遊間事情は改善されたかと思いきや24年シーズンより中村がサードへコンバートされた為、差し引きプラスマイナスゼロとなった。
と、以上のようになる。
2020年以降、外国人での補強。さらにドラフトでの即戦力二遊間の上位指名を続け、一軍戦力化には成功している。
前提として
ここにきて前提の話になるが、球団は、ある程度の質をもった二遊間の選手を何人保有しておくべきだろうか?
捕手であれば第三捕手くらいまではある程度の質を持った捕手を確保しておきたいだろう。
一人しか試合に出れない捕手で三人ほしいのであれば、二人試合に出る二遊間は?
現状、ロッテはほぼ藤岡・小川・友杉で二遊間を回している訳だが、茶谷の不振の影響もあり藤岡が怪我で離脱している間はほぼ小川・友杉が出ずっぱりにならざるを得ず、疲労が見えてきても使い続けた結果として特に友杉は成績を落とした。
藤岡が怪我がちであることを鑑みればロッテに関しては最低あと1人は質を伴った二遊間を保有しておいた方がいいし、できればプラスもう1人。計5人は居てほしい。と個人的には思う。
さて、4~5人の二遊間を保有するにあたり、2018年の段階で中村・藤岡の2人を確保しているとするならば、必要となるのはあと2~3人となる。
さて、その2~3人を確保するにあたりどのような手段がとりえたのか? 戦力外から拾える可能性はないとした上でドラフト、そしてトレードでの確保の可能性について考えていきたい。
まずドラフトから考えるなら、高卒、あるいは大社なら何位以上での指名が妥当か? そしてトレードであればトレードでの補強は可能だったのか? ということを2020年(小川指名年)の補強期限終了日までに取りえた手段を考えたい。
ドラフト
まずはドラフトから。
二遊間が指名された順に(各順位で左から順位内での指名順)
18年
1位 小園 太田
2位 小幡 増田陸
3位 山野辺 木浪
4位 中神
5位 宜保
6位 渡辺孫 知野
7位 羽月 松田進
8位 吉田大成
19年
1位 小深田
2位 紅林 黒川
3位 上野
4位 韮澤 遠藤 川野
5位 田部 福田光 長岡
6位 武岡
となる。
今の知識ならあるいは19年5位を福田から長岡もしくは武岡にすれば良かったと言えるかもしれない。しかし、ある程度の即戦力性を求めて高卒野手を下位指名するのかと云えば疑問符を付けざるを得ない。
実際、長岡も1年目から1軍デビューは果たしてはいるが1年目は6試合、2年目は5試合と顔見せ程度の出場に収まっておりレギュラーを掴んだのは3年目。武岡も一軍での出場は1年目から5、1、7試合に留まり、本格デビューを果たしたのは4年目と即戦力性は薄かった。
ちなみに宜保を指名したい場合は4位での指名が必要=山口の指名をあきらめるということになる。
指名漏れ大学・社会人は先述の通り、縛り上指名が不可能であったと想像する。
以上のことから、18、19年のドラフトにおいて即戦力二遊間の指名は事実上不可能だったことがわかる。
そして、トレードからの補強ならどうか。
トレード
2018年から2020年シーズンの補強期限終了日までに成立した二遊間が絡んだトレードを挙げる(左側が二遊間)と、
西田⇔山下
美間⇔曽根
谷内+秋吉⇔高梨+太田
三好⇔下水流
となり、茶谷・西巻や17年の三木・大嶺とそう変わらないレベルの選手しか移動していない。
以上を鑑みるに、2018年から2020年の補強期限終了日までにドラフト及びトレードにおいて一軍レベルの二遊間を獲得するのはかなり難しかったことがわかる。
ある程度レンジを長くとっても二遊間がらみで即主力となったトレードは、
三森⇔濱口
阿部⇔涌井
京田⇔砂田
大引+木佐貫+赤田⇔糸井+八木
くらいでいずれも主力同士か放出側のチーム事情が伴ってのものだった。
移籍初年度はパッとしなかったが後に主力となったトレードは、
川島+日高⇔新垣+山中
今浪⇔増渕
渡辺直⇔長田
があるが、いずれも獲得側がドラ1を出しているようにそれなりの対価が必要になる。
以上を踏まえたうえで2018年からロッテがとってきた補強手段を眺めると、私にはそこまで責められる要素は見受けられないように思えるのだが...。
もちろん2017年以前の編成に対して言えることはあるだろうが。