2014年6月30日月曜日

2014年に買って良かったアルバム ハンサムケンヤ アムネジア



なんとも形容しづらいシンガーソングライターのメジャーデビューアルバム。これ以前にビクターより二枚のミニアルバムをリリースしており、インディーズでもアルバム、ミニアルバム、シングルを各一枚ずつリリースしている。2011年のインディーズデビューから数えてリリース間隔が一年開いたことがない多作家。インディーズ時代の全作品にボーナストラックとしてデモ音源が収録されており、後の作品に正式音源として収録されることも多い。

新作アルバムであるDISC1とインディーズ時代の楽曲をスタジオライブ録音したDISC2の2枚組。

彼のストロングポイントは視点と歌詞にある。世界を俯瞰して語ることは世界と自分とを区分し世界の罪と自分自身とを分ける考え方でありその無責任な視点で世界を断罪しても的を射ることはないが、自分自身からの目線で世界を語るとき、それは自己と世界とを一続きのものとし、世界の罪を自分自身のものとして受け止める考え方で、個人としてはこちらの方に強く共感する。

2014年6月23日月曜日

2014年に買って良かったアルバム 菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール 戦前と戦後




菊地成孔のいくつかのメインプロジェクトの一つであるペペ・トルメント・アスカラールの4枚目。ではあるが、収録楽曲のほぼ全てで菊地自身がボーカルをとっており、こういった内容のリリースは初めて。

戦前のジャズ歌謡からもはや戦後どころでは無いほど遠くに来てしまった80年代のいわゆるJーPOP直前の歌謡曲、そしてジャズの歴史を踏まえ、菊地曰くジャズの孫であるHIP-HOP、RAPまでを咀嚼し、いつの日か戦前と呼ばれるであろう現在に作られた作品。


決定的な衰退から逃れるために伝統芸能化した所謂皆がイメージするジャズのような音もあるが、キャプテン・ビーフハートやジョン・ケージを意識的にしろ無意識的にしろ通過した後の私たちの耳にはすんなりでは無いかもしれないが入ってくる音である。し、SIMI LABからOMSBそしてDyyPRIDEが参加しており、ヘッズにも対応していると思う。さらに、ポップソングとして超一級のクオリティを持つ楽曲まで含まれており、ほぼ全方位対応と言った印象。

歌詞でも彼の思想やアルバムのコンセプトについては仄めかされてはいるが、全てを歌詞やアートワークで表すといった野暮で無粋な映画やバンドマンのような真似はしていない。

2014年6月20日金曜日

2014年に買って良かったアルバム 失敗しない生き方 常夜灯


どうしようもない暇をつぶす為だけに一時的に結成された、コンビニエント・サバーブ・ポップ・グループ失敗しない生き方のファーストアルバム。


cero、ミツメ、スカート、森は生きている等に代表されるいわゆる「東京インディーシーン」の、今のところ最後発。

他のバンドと比べ、純粋なポップセンスでは頭一つ抜けている印象。あまり触れられないが、曲だけでなく詩の面においても高く評価されるべきバンド。

また、公式サイトにおいて「スーパーマーケットのBGM向きの軽快な音楽を地下や路上で演奏する。とあり、VAPORWAVEとの共振も感じられる点も付記しておく。


しかし、彼らの初のワンマンライブ後、作詞、Gt、そして蛭田桃子とツインボーカルを務めていた天野龍太郎の脱退が発表された。このアルバムに収録されている楽曲全ての作詞を行っているだけに先に触れた詩の面への影響が心配。作曲に関してはクレジットされていないのでそっちの面では影響はさほどないか。ボーカルに関してはどうだろうか?存在感はあったがいわゆるヘタウマの部類で他メンバーでカバーできる可能性も。